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2026.06.30

金型用鋼材の選び方とは?

金型技術

射出成形金型の品質と寿命は、設計だけでなく鋼材(金型材料)の選び方に大きく左右されます。鏡面、耐腐食、耐摩耗—要求によって最適な鋼材は変わり、選定を誤ると不良、劣化、破損といった問題につながります。本記事では、金型用鋼材の大まかな3つの分類と、用途別の選び方のポイントを、金型設計の現場目線で解説します。

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樹脂・生産数量・要求品質に合わせた金型鋼材の選定について、まずはお気軽にご相談を承っています。
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鏡面に磨き上げられた金型用鋼材のブロックのクローズアップ

金型用鋼材の3つの分類

射出成形金型に使われる鋼材は、大きく次の3系統に分けられます。まずはこの分類を押さえると、選定の見通しが良くなります。

プリハードン鋼(焼入れ不要・30〜45HRC)

調質という高温での焼き戻しを行う熱処理を加え、硬さを調整した(pre-harden)状態で供給される鋼材です。機械加工後にそのまま金型として使えるため、焼入れ工程が不要で、納期短縮・コスト削減・熱処理による歪みの回避といった利点があります。硬さは30〜45HRC程度が一般的で、一般的な熱可塑性樹脂の中量産で主役となる選択肢です。代表的な鋼種に大同特殊鋼株式会社のNAK55・NAK80(いずれも37〜43HRC級)があります。一方で、HRC50を超える高硬度品はほとんどなく、時効硬化型は後から焼入れで硬度を上げられない点に注意します。弊社ではさらに必要に応じて窒化処理(表面に窒素原子を拡散浸透させる、表面処理)を行い高度を上げる場合もあり、金型仕様ごとに最適な方法を見極めご提案させていただきます。

焼入れ鋼(高硬度・50〜65HRC)

熱処理によって高い硬度と耐摩耗性を得る鋼材です。ガラス繊維入り樹脂や一部のスーパーエンプラなど、摩耗の激しい用途に向きます。代表的な鋼種には、高硬度・高耐摩耗のSKD11(焼入後58HRC以上)、耐熱・高温靭性に優れるSKD61(焼入後50HRC以上)、精密エンプラ向けのプロテリアルHPM31(56〜62HRC)などがあります。高硬度な分、加工に手間がかかりコストは上がります。

ステンレス系(耐食・鏡面)

耐食性と鏡面性に優れた鋼材です。透明品や、PVC・難燃剤添加樹脂など腐食性のある樹脂に向きます。13Cr系(SUS420J2を改良した系統)が代表で、ウッデホルムのSTAVAX ESR(推奨硬さ45〜54HRC)や、プロテリアルのHPM38(プリハードン状態29〜33HRC、焼入焼戻しで50〜55HRC)などがあります。PVC・発泡樹脂・ゴム用には、プロテリアルのステンレス系プリハードン鋼PSL(38〜42HRC)も使われます。

用途別の鋼材選びの考え方

透明鏡面・腐食性樹脂・摩耗の激しい樹脂それぞれに適した金型鋼材の選び分けを示すイメージ

鋼材選定は、「成形する樹脂」と「求める品質」から逆算すると分かりやすくなります。代表的な3分岐を整理します。

要求・樹脂 重視する特性 代表的な鋼種の例
透明・鏡面成形 鏡面磨き性 NAK80/HPM38/STAVAX
PVC・難燃剤・発泡樹脂(腐食性) 耐食性 HPM38/PSL/NAK101
ガラス繊維入りなど摩耗大 耐摩耗性・高硬度 HPM31/SKD11系
一般樹脂の中量産 被削性・コスト NAK55/HPM7

選定の判断軸は、硬さ・耐摩耗性・耐食性・被削性・鏡面性・溶接(肉盛)性・コスト、そして生産数量(ショット数)です。とくにショット数は上位の判断軸で、少〜中量産はプリハードン鋼、大量産や摩耗の激しい樹脂ではコストが上がっても焼入れ鋼を選ぶ、という費用対効果で考えます。長期の量産を前提とする場合は、鋼材選定の段階から耐久性を織り込むことが重要です。

鋼材選定は金型の寿命設計の出発点

鋼材は、金型の寿命を決める最初の設計要素です。錆びにくいステンレス系を選べばメンテナンス間隔を延ばせますし、摩耗の激しい樹脂に高硬度鋼を選べばショット数を伸ばせます。さらに、窒化やクロムめっきなどの表面処理を組み合わせることで、耐摩耗性・耐食性・離型性を高める設計も可能です。

当社は食品・医療・自動車・半導体・化粧品など幅広い分野の金型を手がけ、樹脂特性と生産数量に応じた鋼材選定を行っています。金型納品後もお客様と併走し、100万ショット以上の生産に対応する高耐久な金型設計を基本としています。樹脂や数量が決まっていない段階でも、まずはご相談ください。金型製作の詳細は金型製作のページをご覧ください。

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金型用鋼材の選定を含む金型設計のことなら、株式会社三幸にお任せください。
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この記事の監修者

営業技術部 部長 岡鼻

株式会社三幸にて金型設計に18年従事。射出成形技能士2級。化粧品・医薬品・食品分野のキャップ・容器を中心に、樹脂特性に応じた鋼材選定を含む量産金型の設計・製作に長年取り組んできた。

参考文献

  1. 大同特殊鋼株式会社「プラスチック金型用鋼」製品情報
  2. 株式会社プロテリアル「プラスチック金型用鋼」技術情報
  3. 株式会社三幸「製作実績

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