■細長い形状でも安定成形を実現

今回製作したのは、自動車のダッシュボード周辺に使用されるPP製部品の射出成形用金型です。
10×10×365mmという細長い形状により、樹脂の流れムラや冷却不足による反りが課題となりました。
その対策として、3点配置のトンネルゲート方式を採用し、均等な樹脂充填と変形抑制を実現。
冷却回路も製品全長に沿って左右対称に設計し、ヒケや歪みのない安定した成形を可能にしています。
220tの成形機に対応した2ケ取り構成で、量産時の効率性にも配慮しました。

スライド構造を避けつつ不要になるランナー部分が最小限になるような設計を心掛けました。
金型材質には耐摩耗性・加工精度に優れるPXA30を選定し、長寿命かつ保守性の高い金型に仕上げています。

■機能・剛性と生産性を両立する金型設計

製品が細長く、かつ断面形状に変化があったため、樹脂の流動性と冷却の最適バランスを見つけるのに苦労しました。
3点トンネルゲートで反りや変形の懸念があり、ゲート位置とガス抜き設定に注力しました。

この製品は車内の視界に入らない機能部品の為成形品の精度の要求が非常に高い点が特徴です。
PP特有の収縮や変形に対応しつつ、離型時のストレスを抑えた構造を取り入れました。
PXA30材は補修にも適しているため、長期の生産運用においてもメンテナンス性に優れています。
当社では、樹脂特性・製品用途・生産条件すべてを踏まえたうえで、最適な金型仕様をご提案しています。