2026.08.24
カルフォンゲートとは|他のゲート方式との使い分け
射出成形で「製品の表面(意匠面)にどうしてもゲート痕を残せない」という要求に直面したことはないでしょうか。カルフォンゲートは、そうした外観重視の成形品でゲート痕を裏側へ逃がすために使われる特殊なゲート方式で、湾曲した形状からバナナゲートとも呼ばれます。カルフォンゲートはサブマリンゲートの発展形にあたり、突き出しと同時にゲートが自動でちぎれる仕組みが特徴です。本記事では、カルフォンゲート(バナナゲート)の構造・メリット・デメリットと、他ゲートとの違い、採用を判断する軸を金型設計の現場目線で解説します。
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意匠面にゲート痕を残せない製品の金型設計、カルフォンゲート・バナナゲートの採用可否について、内容にもよりますがまずはお気軽にご相談を承っています。
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カルフォンゲート(バナナゲート)とは
カルフォンゲートとは、ランナー(溶融樹脂の通り道)から製品へ樹脂を流し込むゲート(樹脂の入口)を、U字状(バナナ状)に湾曲させて製品の裏側に潜り込ませる方式です。
カルフォンゲート(Calphone gate)の名前の由来は、樹脂が流れる通路(ゲート)の形状が「牛の角(Calf Horn)」に似ていることから名付けられたとされています。
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Calf(カーフ): 子牛
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Horn(ホーン): 角(つの)
この「カーフ・ホーン」が訛ったり短縮されたりして「カルフォン」という名称が定着しました。
でも、子牛って立派な角って生えていないよねという疑問が浮かぶと思います。なので、単にカーブの誤認っていう説もあるみたいです。
バナナゲートととも呼びますが、こちらのほうが一般的です。

基本の考え方はサブマリンゲート(トンネルゲート)と同じですが、サブマリンゲートは、製品の側面にゲートを配置するのに対し、その湾曲をさらに強め、製品の裏側の奥まで回り込ませたのがカルフォンゲートです。型を開いて製品を突き出すとき、湾曲したゲートがちぎれて製品から自動的に切り離されます。
カルフォンゲートの構造と特徴

カルフォンゲートは湾曲したトンネル形状のため、通常の彫り込み加工では作れません。そのため金型では、ゲート部分を中心から半分に割った入れ子として加工し、ボルトなどで締結して組み込む構造が基本になります。この作り込みが、後述するコストや難易度に直結します。
もうひとつの特徴がゲートの自動分離です。成形品を突き出す動きに連動して、湾曲したゲート先端が製品との境目でちぎれ、後工程のゲートカット作業を減らせます。ただし、ゲートが抜け切る前にちぎれるとゲート先端が金型内に残る不良につながるため、突き出し側の樹脂を保持する部分を適切に設計し、ゲートが最後まで確実に抜けるようにすることが要点です。実際に弊社で製作した金型では、製品は10mmもあれば突き出せるのですが、ゲートを抜くために、50mm突き出しています。
カルフォンゲートのメリット・デメリット
カルフォンゲートは万能ではなく、外観品質と引き換えに金型構造の複雑さを受け入れる方式です。主な長所と短所を整理します。
| 観点 | 内容 |
|---|---|
| メリット① | ゲート痕を意匠面から裏側へ完全に逃がせる。サブマリンゲートは側面なのに対し、裏側へ回せる |
| メリット② | 突き出しと同時にゲートが自動でちぎれ、ゲートカット工程を削減できる |
| メリット③ | ホットランナーを導入せずに「痕が目立たない+自動分離」を実現でき、設備投資を抑えられる |
| デメリット① | 半割り入れ子+ボルト締結など金型構造が複雑で、製作・保守の難易度とコストが高い |
| デメリット② | ゲート先端が型内に残る不良が起きやすく、突き出し保持部の設計に配慮が必要 |
| デメリット③ | 採用場面が限定的で、標準はサブマリンやピンゲートで足りることが多い |
ゲートの種類によっては後加工不要でそのまま製品として使えるケースが多く、カルフォンゲートもゲートカット工数の削減に寄与します。一方で金型の作り込みが増える分、メンテナンスや型修理の負担も見込んでおく必要があります。
他のゲート方式との違いと使い分け
カルフォンゲートは「意匠面に痕を残さない」ことに特化した方式です。近い目的の方式や、混同されやすい方式との違いを整理します。
| 方式 | 系統 | 特徴・使いどころ |
|---|---|---|
| カルフォン(バナナ) | コールドランナー | 裏側へ深く回して意匠面の痕を消す。自動分離。構造は複雑 |
| サブマリン(トンネル) | コールドランナー | 側面に潜らせて痕を避ける。カルフォンの原型。径が細く圧力損失に注意 |
| ピンゲート (内ゲート) |
コールドランナー(3プレート) | 製品の裏側を固定側にし、その面に点で設置。多点化で均一充填に有利だが金型が複雑 |
| バルブゲート | ホットランナー | ノズル内のバルブで開閉を制御。糸引き防止・タイミング制御に強いが設備投資が大きい |
まずサブマリンゲートで足りるかを検討し、それでも痕が問題になる場合にカルフォンゲートを選ぶのが実務的な進め方です。製品の裏側を固定側にすることができる製品形状であれば、ピンゲート(内ゲート)と言う選択肢もあり。糸引きや充填タイミングの精密制御、材料ロスの削減までを最優先する場合は、コールドランナではなくホットランナーの導入が選択肢になります。ホットランナーとの使い分けはホットランナーとは(準備中)で詳しく解説しています。各ゲート方式の全体像はゲート方式の種類まとめ(準備中))もあわせてご覧ください。
採用判断のポイントと当社の対応
カルフォンゲートを採用するかどうかは、次の軸で判断します。
第一に、製品の意匠面にゲート痕をどこまで許容できるか。
第二に、製品の裏側(非意匠面)にゲートを回り込ませる形状的な余裕があるか。
第三に、ホットランナーの設備投資を避けつつ外観品質と自動分離を得たいか。
第四に、半割り入れ子や突き出し設計といった金型の作り込みを許容できるロット・品質要求か、です。
当社(株式会社三幸)は、カルフォンゲート(バナナゲート)を自動車関連部品の金型で扱った実績があります。ゲート方式は製品の意匠・材料・生産数によって最適解が変わるため、金型材質や型構造まで含めて最適な金型を提供できるよう、形状が固まる前の段階からご相談いただくことをおすすめします。金型納品後も成形メーカー(成形屋)と併走し、100万ショット以上の生産に対応する高耐久な金型設計を基本としています。金型製作の詳細は金型製作のページをご覧ください。
■ お問い合わせ
意匠面にゲート痕を残せない製品の金型設計なら、株式会社三幸にお任せください。
カルフォンゲート・バナナゲートを含むゲート方式の選定から、試作金型・多数個取りの量産金型まで、内容にもよりますがまずはご相談を承っています。お問い合わせフォーム →
お電話でのご相談: 0766-31-0646(代)(平日 8:00〜17:00)
この記事の監修者
営業技術部 部長 岡鼻
株式会社三幸にて金型設計に18年従事。射出成形技能士2級。化粧品・医薬品・食品分野のキャップ・容器を中心に、サブマリンゲートやカルフォンゲートなど外観要求の厳しい成形品のゲート設計・金型製作に長年取り組んできた。