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回転コア採用を検討されているお客様へ
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回転コア採用を検討されているお客様へ

射出成形で、ネジ山を作る!

今回は、ネジ山形状のある製品を射出成形するための技術のひとつ、回転コアについてご紹介します。

私たちの普段目にする食品や洗剤、化粧品などのキャップがどのように作られているかということに思いを馳せたことがある方は、業界の方以外ではあまりいらっしゃらないかもしれません。しかし、じっくり見てみると意外と複雑な形をしていることに気づきます。一つひとつ手作りすることは到底不可能、そこで生み出されたのが金型と射出成形機でした。

人間工学にのっとった複雑な形状、なおかつ液漏れ防止などの機能性を担保させる必要があることを考えると、金型から成形品を取り出す工程が何よりリスクのある場面であることは明白です。そこで、成形品を可能な限り変形させず、良品を採取するために考えられたのが金型の中の入れ子自体をくるくる回し、ネジ山を解除する「回転コア機構」です。

本稿では、従来当たり前だと考えられてきた「無理抜き構造」と比較しながら、「なぜ型費が上がっても回転コアが選ばれるのか」を、成形品価値・品質・費用対効果の視点で解説します。


無理抜きとは?

「無理抜き」とは、ネジ山などのアンダーカット(金型から単一方向に製品を抜き出すときに、離型の邪魔をして抜けない形状)を持つ製品の、アンダーカットを処理せずに直線的な突き出し力で離型する方法です。無理抜きを用いるメリットとしては金型構造が比較的シンプルであることや、初期の金型費用が抑えやすい、型内機構の少なさからサイクルタイムを短くしやすい等が挙げられます。

しかし、特に機能性を持たせたキャップのような製品の場合、無理抜きでは以下の課題が起きやすくなります。

・突き出し時の変形・歪み

・ネジ山の潰れ・白化(樹脂が引き伸ばされることで発生)

・ネジ山高さ・角度に制限がかかる

・タンパーエビデンスバンド(ペットボトルを初めて開ける際、パキッという音とともにバンドが千切れる構造のこと。その製品が初めて開封されることを保証しています)やチャイルド・レジスタンス機構があると、局所的な破壊・機能不良につながる

結果として、「金型から何とかして成形品を抜くことが先決の形状」になり、本来求めたいシール性能・開封感・機能信頼性を犠牲にするケースが少なくありません。


回転コアとは?

対して、回転コアとは、成形後コア自体を回転させることで、私たちが普段ペットボトルを開封する際に行うように、ネジを“回して外す”離型方式を指します。ここで重要なのが駆動方式です。

コアを回転させるための方法はいくつか存在します。

・油圧制御…油の流体エネルギーを機械エネルギーに変換します。馬力はありますが、回転の諸制御がやや粗く、ユニットからの油漏れのリスクもはらんでいます。

・エア制御…空気圧を機械エネルギーに変えます。電気を用いないためコストが低いですが、精密な制御は難しく、トルクも小さいので金型で採用されることは稀です。

・電動(サーボ)制御…もっとも主流。エンコーダで回転位置を±0.1°(汎用モデルの条件。さらに高精度なものも存在します。)で制御できます。速度やトルクも自由に変えることができますが、初期費用が上記二点より高く、電力を使用し続けます。

初期投資が高くとも、サーボ駆動が現在の主流である理由は回転角度・回転量・回転タイミングを制御できるという点にあります。特に、精密金型や数十万~100万Shot保証の多年金型においては、「停止位置を決めて」、「毎回同じ動きを再現する」ことで寸法精度の維持、金型寿命を延ばすことは、成形加工メーカーにとっても金型メーカーにとっても、とても重要なことです。


モータードライブで実現できるキャップ構造

① タンパーエビデンス(TE)

「タンパーエビデンス(Tamper Evidence)」とは、開封されるとリングが切れる・残るなど、未開封であることを示す仕組みです。

TEバンドは、薄肉フック形状の周方向での噛み合いといった繊細な形状を持ちます。無理抜きではこの部分に過大な力がかかり、「取り出し時点で既にタンパーが切れている」、「初回開封前に切れてしまう」といったばらつきが出るといったリスクがあります。ネジ抜き回転コアであれば、回転で確実に離型するため、TE機能を壊さずに成立させることができます。


② チャイルドレジスタント(CR)

「押しながら回す」など、大人には開けられるが子どもには難しい構造を指します。CRキャップは、二重構造、ラチェット機構、位相(角度)管理が重要です。モータードライブでは、回転開始角度、抜き終わり位置を制御できるため、機構の噛み合い精度を安定させやすくなります。


③ ネジ山形状の“本来設計”ができる

回転コアの最大の利点は、「抜けるための妥協設計」が不要になることです。角を丸めることなくネジ山高さを十分に確保できますし、有効ねじ長を伸ばすこともできます。結果としてシール性が安定、漏れリスクも低減し、組立・自動キャッピング適性の向上などといった成形品としての価値向上につながります。


メーカー様向けの、モータドライブ搭載にむけたコストダウンのご提案

確かに、モータードライブは金型費が上がる傾向があります。しかし、成形加工・金型製造の両方を行う当社の見解としては、ぜひ製品構想から製造ライン完成、エンドユーザー到達までのトータルコストでご勘定いただくのおすすめしたいです。投資回収のアイデアの一例としては、不良率低減、ライン停止やクレームの防止、高機能製品としての採用率・単価向上、これらを合算すると、「初期型費は高いけれど、量産フェーズで回収できる」ケースは少なくありませんでした。そこで、型費を抑えるための実用的な提案として、以下のような方法が思いつきます。

・標準化されたサーボユニットの活用…専用設計を最小限に、カタログ販売されており金型メーカー側で実績あるユニットを前提とすることで、設計工数・立上げリスクを低減。

・保証ショット数・仕様の段階設定…製品の必要個数によっては、油圧モーターもおすすめしております。油圧駆動のモータードライブも決してマイナーではなく、今でも多くのニーズをお聞きしておりご検討いただくのも有効です。

・ 過剰品質を避けた材料・表面処理選定…目標寿命に合わせた鋼材・熱処理、必要十分な耐摩耗仕様を選定し、「用途の中での最高級化」がおすすめです。


まとめ:モータードライブは高級技術ではなく「選ばれる技術」

モータードライブによる回転コアは、単なる高級仕様ではありません。容器製品としての機能価値、成形品としての品質安定性、ユーザーが体感できる安心・使いやすさ、これらを確実に実現するための、実際的な選択肢だと、当社も考えております。

無理抜きで限界を感じているキャップや容器、カバーなどが、モータードライブ化によって「品質で選ばれる製品」へ進化できる可能性も大いにありますので、構想段階でもぜひ一度、ご相談いただければと思います。