2024.12.06
射出成形の基礎と用途、メリット・デメリット
目次
射出成形とは?
射出成形とは、プラスチック樹脂を加熱して液状に溶かし、金型へと高圧で注入することで製品を成形する方法です。注射器で液体を押し出す様子に似ていることから「射出成形」と呼ばれており、「インジェクション成形」ともいわれます。
💡 ポイント:射出成形は高い精度と効率で大量生産できる製造方法です。
射出成形の用途
射出成形は、主にプラスチック製品の成形に広く利用されています。スマートフォンやプラモデルのパーツ、ペットボトル、キッチン雑貨、電化製品のパーツ、そして自動車の部品まで、多岐にわたる製品で活用されています。

射出成形の3つのメリット
1. 大量生産に向いている
射出成形では、一度金型を製作すればその後は同じ製品を繰り返し大量に作成できるため大量生産に適しています。製造時間を短縮しながら必要な数量を効率よく生産でき、金型を使い回すほどに製品単価を下げられる点が特徴です。
2. 多様な樹脂材料に対応可能
射出成形は、加熱溶融した樹脂を細いノズルで金型に送り込むため、溶解性があればさまざまな樹脂材料が使用できます。一般的な「PP」や「PE」などの汎用樹脂はもちろん、「スーパーエンプラ」などの高機能樹脂また「ガラス繊維」「炭素繊維」などを配合した強化樹脂にも対応できます。
主な射出成形用樹脂材料
- PP(ポリプロピレン)
- PE(ポリエチレン)
- PS(ポリスチレン)
- ABS樹脂
- PC(ポリカーボネート)
- POM(ポリアセタール)
- PET(ポリエチレンテレフタレート)
3. 仕上がりが美しい
射出成形では、溶けた樹脂が金型内部で高圧で押し出されるため、複雑なデザインや細部の文字まで再現でき、美しい仕上がりが期待できます。金型の形状をそのまま転写できるため、樹脂の収縮率や加工精度に注意することで設計通りの形状が得られます。
射出成形の2つのデメリット
1. 金型の完成までのコストが高い
射出成形では、一度金型を作成すれば長期的に使用できますが初期の金型製作には高額なコストと時間が必要です。特に複雑な製品形状の金型は、設計や試作、修正を繰り返すため金型の製作期間が長くなることがあります。そのため、少量生産には向かず、製品単価が高くなりがちです。
⚠️ 注意点:金型製作には高い初期投資が必要なため、生産数量に応じた適切な判断が重要です。
2. 成形できる製品に制限がある
射出成形は多様な樹脂を使えるものの、全ての形状を作れるわけではありません。例えば、厚みやサイズが大きすぎるものや成形後に金型から取り出しにくい形状の製品には適していません。このため、製品設計には事前に金型成形における制約を考慮する必要があります。
メリット・デメリットの比較
観点 | メリット | デメリット |
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生産性 |
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コスト |
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品質・精度 |
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材料 |
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製品設計 |
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リードタイム |
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まとめ
射出成形は、さまざまなプラスチック製品の大量生産を可能にし、複雑な形状や美しい仕上がりを実現できる成形法です。ただし、金型作成には高コストがかかるため、製品の使用目的や生産量に応じた適切な設計が求められます。
確かに金型製作にはコストと時間がかかりますが、それ以上に、優れた技術と工夫で克服できるポイントが多いのも事実です。私たちの取り組みでは、金型の設計から金型製作、試作・量産に至るまで、徹底したサポート体制を整えています。また、私たちの長年培ってきたノウハウと高精度な加工技術により、初期投資とリードタイムを抑えつつ高品質な金型づくりが可能です。
よくある質問 (FAQ)
Q: 射出成形はどのような製品に適していますか?
A: 射出成形は大量生産を前提とした、比較的小型から中型サイズのプラスチック製品に適しています。特に細かいデザインや精密さが求められる製品に向いています。
Q: 射出成形の主な材料は何ですか?
A: PPやPEなどの汎用樹脂、ABSやPCなどのエンジニアリングプラスチック、PEEKなどのスーパーエンプラ、さらにはガラス繊維や炭素繊維を配合した強化樹脂など、様々な樹脂材料が使用できます。
Q: 一般的な射出成形のリードタイムはどのくらいですか?
A: 金型設計・製作には一般的に4〜8週間程度かかりますが、製品の複雑さによって変動します。金型完成後の量産は比較的短期間で開始できます。
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